スマートリモコンサービスの「Nature Remo」にて20日から22日にかけて3回の障害が発生した。私もNature Remoを利用しており、久しぶりに照明とエアコンをリモコンで操作した。ここで改めて気が付いたが、Nature Remoはインターネット上のサーバがないと動かないことだ。
Nature Remoとは?
Nature Remoとは、インターネットにつながるスマートリモコン。IFTTTやAmazonのEcho、GoogleのGoole Homeに対応している。一番分かりやすいのが、EchoまたはGoogle Homeの音声認識だ。Echoなら「アレクサ、エアコンをオン」と言うとエアコンの電源が入る。「アレクサ、ライトをオン」と話しかけると、照明が付く。
このようにEchoとNature Remoが連携することで、音声認識で家電が操作できる。私はこれで、照明とエアコンのリモコンはほとんど使わなくなった。
Nature Remoのサービスのコストは誰が負担するのか
この障害をきっかけに疑問に思ったのが、誰がどのようにNature Remoのサービスのコストを負担しているのかということだ。というのも、EchoとNature Remoは、自宅内のネットワークにつながっているため、直接、通信しているようにも思えるが、実はそうではない。いずれもインターネットを経由している。
おおよそ、このような仕組みだ。

- ユーザがEchoに「アレクサ、エアコンをオン」と話しかける。
- Echoがインターネットを経由してAmazonの人工知能「Alexa」に音声を送信する。
- Alexaが音声を分析し、Nature Remoに処理を渡す。
- Nature Remoのサーバで「エアコンをオン」と認識してNature Remoに送信する。
- Nature Remoがエアコンに電源を入れるという赤外線を送信。
という手順だ。
EchoからNature Remoはインターネットを経由してデータを送受信している。そのため、Nature Remoのサービスを維持するためには、サーバや回線、メンテナンス費用がかかる。
このコストの原資は誰が負担しているのだろうか。というのも、Nature Remoは、利用料金は必要ない。もしかしたら、あらかじめNature Remoの価格に上乗せしてあるかもしれないが、それにも限度がある。
Echoの利用料金は無料だが問題はなさそう
Echoの利用料金も無料だ。しかし、こちらは無料でも問題なさそうだ。
Amazonはクラウドプラットフォームの「Amazon Web Services」を展開している。Amazon Web Servicesは、主にWebサイトを構築するプラットフォームで、導入事例としてソニーバンク、NTT東日本、東急電鉄、ドコモなどがあげられている。これはほんの一例で、Amazonはこれらの莫大なサービスを支える大規模なクラウドを有している。自社のプラットフォームなら、実質、無料で使える。そのためEcho程度のサービスは誤差にしか過ぎないのだろう。
また、EchoはAmazonプライムのサービスの1つである「PrimeMusic」や商品の注文、音楽のサブスクリプションサービス「Amazon Music Unlimited」が利用できるデバイスとも考えられる。Echoをきっかけとした売上が期待できる。
サービスは自社のプラットフォームで動いており実質、無料で、さらに収益の向上につながるかもしれないEcho。そんな事もあり、Echoの利用料金が無料でも問題はないのだろう。

無料を有料に切り替えたサービスもある
このようにデバイスを持っているとそれで利用できるサービスは無料というものは、いくつもあった。これを有料に切り替えたケースもある。
Nature Remoと同じスマートリモコンの「eRemote」がその1つだ。eRemoteは、最初のモデルは外出先からの家電の操作も無料だっが、次の製品から有料になった。外出先からの操作はサーバーを経由するため、有料化に踏み切ったのだろう。
また、「ニンテンドーDS」のオンラインサービス「ニンテンドーWi-Fiコネクション」も同じようなケースだ。ニンテンドーDSは、ソフトウェアは有料だが、オンラインサービスは無料で使えた。しかし、ニンテンドーWi-Fiコネクションは、2005年11月に開始されたが2014年5月20日にサービスを終了した。
そんな事もあってか、Nintendo Switchのオンライン対戦は月額300円の「Nintendo Switch Online」の契約が必要になった。

IoTはどうやって運営コストを捻出するのか
EchoとNature Remoの事を考えると、以前、ブログに書いたスマートウォッチ「Mi Band 3」や体重体組成計の「Body +」も同じだ。echo、Nature Remo、Body +、Mi Band 3はいずれも「IoT」と呼ばれる製品。今後、IoT製品が増えるのは目に見えている。これらIoT製品は、何かしらのサービスに接続しないと意味がない。その際、サービスのコストは、誰がどのように負担するかが課題になってくるだろう。