NAS(Network Attached Storage)いわゆる、ファイルサーバー。例えばHDDを2台搭載してバックアップができる製品もある。しかし、パソコンでこのような製品と同じように簡単に多機能なNASが構築できる。ここでは、インストールが終わった「openmediavault」(OMV)を設定する。
最低限の設定
インストール後に最低限必要な作業は、
- 固定IPアドレスの設定
- 管理者パスワードの変更
- パッケージのアップデート
- ユーザーの追加
- アラートメールの送信設定
- これも設定しておきたい
だ。
固定IPアドレスの設定
まずは、Webのダッシュボードにログインする。起動時にログインとパスワード、IPアドレスが表示されるが、このアドレスは一時的なもので、Webブラウザなどからログインは出来ない。

一般的なネットワークなら、DHCPサーバーからIPアドレスが付与される。[Ctrl]+Cで画面をリフレッシュすると、DHCPサーバーから割り当てられたIPアドレスが表示されるので、このアドレスをWebブラウザに入力してダッシュボードを開く。

これでDHCPサーバーから割り当てられたアドレスが表示される。このIPアドレスをWebブラウザに入力するとログイン画面が開く。認証は先ほどと同じく
[ユーザー名]は「admin」
[パスワード]は「openmediavault」
だ。なお、インストール中に設定したパスワードとは異なり、上記を入力する。

コントロールパネルにログインしたら、IPアドレスを固定する。[システム] → [ネットワーク] → [インターフェイス] → 「eno1」をダブルクリック。

IPv4の[メソッド]を「スタティック」に切り替えて、[アドレス][ネットマスク][ゲートウェイ]を設定する。

また、IPv6が無効にされているので必要であれば、[メソッド]を「自動」に設定する。

「保存」をクリック → 画面の上に「設定が変更されました。あなたはそれらを有効にするために変更を適用する必要があります。」「適用」→「はい」。この画面上部に表示される確認のメッセージは、この先、たびたび出てくるので、設定を確認して「適用」をクリックする。

「設定の変更を適用」のプログレスバーが表示される。プログレスバーでは進行中になっているが、1分程度たったら先ほど設定した固定IPアドレスをWebブラウザーで開く。
管理者パスワードの変更
[システム] → [一般設定] → [Web管理者パスワード]をクリック。[パスワード]と[パスワードの確認]を入力して「保存」。

パッケージのアップデート
[システム] → [アップデート管理] → 「チェック」で更新されているパッケージを確認。 [パッケージ情報]の左側をチェック → [アップグレード]で最新のパッケージに更新される。

ユーザーの追加
openmediavaultを使用するユーザを追加する。
[アクセス権の管理] → [ユーザー] → 「+追加」 → 「+追加」 → [名前] [Email] [パスワード]を入力 →「保存」

アラートメールの送信設定
openmediavaultは、本体を初めとしてプラグインなどでエラーなどが発生した際、メールで通知する。それには、openmediavaultの「通知」にてメールの送信先を設定する必要がある。
[システム] → 「通知」をクリックするとメールの設定画面が表示される。[SMTP設定]では、普段利用しているメールサービスのSMTPサーバーやアカウント名を入力。[レシピエント]には、通知メールを送信するアドレスを入力する。

これも設定しておきたい
優先順位は低いが、こちらも設定をしたほうがいいだろう。
NTPの設定
NTP(Network Time Protocol)は、コンピュータの時計を正しい時刻に合わせるためのプトロコル。時刻がずれると、ファイルの同期やログの時刻などに不整合が起きて使用が出てくる可能性もある。
[システム] → [日付と時刻]
[時刻サーバ] → 適切なNTPサーバーを登録。日本国内であれば「ntp.nict.jp」がおすすめ。
[NTPサーバを使用する] → オン
[タイムゾーン] →「Asia/Tokyo」
「保存」をクリック

SSHの停止
一般的なNASとして利用するならSSHは不要だ。
[サービス] → [SSH] →「有効」のスイッチをオフにする。
データドライブの追加
データドライブの追加
HDDを接続する
パソコンをシャットダウンして、データドライブを接続する。

データドライブを接続したら、電源をオン。ビープ音がなったら再び、Webブラウザでコントロールパネルを開く。
[ストレージ] → [ディスク] → 追加したいディスク(ここでは/dev/sda) → 「ワイプ」 → [はい] → [クイック] → 「閉じる」

[ストレージ] → [ファイルシステム] → [+追加]

ファイルシステムの作成
[デバイス] → 先ほどワイプしたディスク
[ラベル] → 適切な名前、ここでは「home」
[ファイルシステム] → [BTRFS] → [はい]

ディスクのフォーマット
メッセージを確認して[はい] → 「閉じる」
追加したデバイスを選択→「マウント」→「適用」 → 「はい」

各ユーザのホームディレクトリを作成
[アクセス権の管理] → [ユーザー] → [設定] → [有効]をオン
[ロケーション]は先ほど追加したデータドライブを指定 → 「保存」

[サービス] → [SMB/CIFS] → [設定] → [一般設定]で「有効」をオン
[ワークグループ]を入力 → ホームディレクトリの[有効]をオン
「保存」をクリック

これでopenmediavaultの設定は終了だ。
Windowsのファイル共有の設定
設定したopenmediavaultのデータドライブをWindowsから使う。一般的なNASに接続するときと同じだ。
[Win] → [\\192.168.1.2](\\のあとはopenmediavaultに設定したIPアドレスまたはホスト名) → ユーザー名のフォルダーをダブルクリックすると、Windowsからopenmediavaultのファイルサーバーが参照できる。
これでopenmediavaultによるNASが完成。ここまでの設定で一般的なNASとして利用できる。
openmediavaultからPCへのダウンロードは平均850Mbps程度
クライアントは有線LANで接続したノートPC。ハブを介してopenmediavaultにギガビットで接続している。通信速度を測定したところ、openmediavaultからのダウンロードは、最大919.871Mbps、平均で846.507Mbpsだった。理論値に近い値が出ている。
気にしていたopenmediavaultのCPUの負荷も少なく、Core i3-2100T(2011年第1四半期発売、ベース動作周波数は2.5GHz)というスペックでも実用的に使えそうだ。
