HDDの廃棄は面倒。情報漏えいを防ぐことを考えると、記録されている膨大なデータを読めなくする必要があるためだ。HDDのデータ消去ソフトを使ってデータを上書きしても、復元できる可能性もある。そうなると、簡単で確実なのはHDDの破壊だ。HDDを破壊する業者はいくらでもあるが、自分で破壊する方法もある。
破壊のレベルにより復旧も困難
HDDの破壊にはいくつかの方法がある。手間をかければかければかけるほど、データの復元は困難になる。



レベル1:SATA端子を破壊
身近にある道具で簡単にHDDを使用不要にする方法がある。それは、マイナスのドライバーでSATAのポートを破壊することだ。SATAの端子と本体の間にマイナスドライバーを挟み込み回すと簡単に壊れる。念のため端子もニッパーで切っておくといいだろう。






レベル2:ケーブルの切断
HDDは、裏側に基板と中央部分を接続する線がある。これを切断するだけでもHDDが使えなくなる。ここでは大きめのカッターで切れ目を入れて、マイナスドライバーで剥ぎ取った。






レベル3:基盤の破壊
HDDは、ディスクだけではなく電子基板がなければ動作しない。これは、ニッパーによる破壊がおすすめ。ニッパーで基板を挟み、握り、回すと壊れる。






レベル4:HDDを開封
HDDの封を開ける。HDDの中身は情報を記録する「プラッタ」と呼ばれるディスクと、「アーム」と呼ばれるプラッタの磁気を読み書きする部品で構成されている。このプラッタとアームのすき間はごくわずかだ。プラッタに傷が付いたり、ゴミが入ったりするとHDDは使えなくなる。そのため、プラッタを壊さなくても開封しただけで使えなくなるというわけだ。
HDDはネジで留められているが、一般的なプラスではなく「トルクネジ」という特殊な部品が使われている。手元にあるWestern DigitalのHDDもSeagateも外側のネジは「T9」サイズが使われていた。
封を開けるためにトルクネジ用のドライバーを購入するなら、L字型を選んだ方がいい。HDDのネジがかたく締まっているため、一般的な棒状のドライバーだと開けにくい。
また、次のレベル5で内部を分解する際に、多くのネジを外す必要がある。このネジ穴の大きさは、バラバラだ。さまざまなサイズがセットになったドライバーを購入するのがいいだろう。












レベル5:プラッタの取り出し
最終的にたどり着くのはプラッタの取り出しと破壊だ。これでデータの復元はできなくなる。メーカーやモデルにより異なるが、さまざまな大きさのトルクネジを取り外し、プラッタを取り出して破壊すると完璧だ。
SATA端子の破壊だけでも“カジュアル”な情報漏えいを防止できる
5つの破壊の方法を紹介したが、SATA端子を破壊しただけでHDDからの情報漏えいの可能性は低くなる。SATA端子がなければパソコンに接続できない。これを復旧させるとなると数万円かかるだろう。
このSATA端子と基盤の交換は、同モデルのHDDを購入して基盤だけ交換したら使えるようになる可能性がある。しかし、ケーブルを切っているので、この復旧は技術を要する。
HDDの封を開けてもクリーンルームでプラッタを清掃すると読み込めるかもしれない。さすがにここまで出来る業者は少なく、また膨大なコストと時間が必要になるだろう。
そのため、個人が利用したHDDは、開封やプラッタの破壊まで行う必要はないと考えている。コネクタや基盤が破壊されていると、パソコンに接続できない。金属ゴミに捨てられていたHDDを拾い、興味本位でデータを復旧させるようなことはできない。
一方の法人が使用したパソコンのHDDの場合。特に管理部門のパソコンは、経理や人事などの個人情報が記録されている可能性がある。対策が甘いと、破棄をした後に情報漏えいにつながる可能性がある。こちらに関しては、HDDの封を開ける、プラッタの破壊まで行うくらいする必要がある。