新型コロナウイルスの感染対策として、通勤が必要ないテレワークを推奨する企業が増えている。しかし、仕事場の環境をすべて自宅で再現するのは難しい。準備するインフラとして、インターネットの回線、パソコンさらに、紙ベースの業務の簡素化などがある。しかし忘れてはならないのは電話だ。
テレワークの電話は050
プライベートで電話を使うことは少なくなったが、仕事ではまだ現役。外回りが多い人にスマートフォンを貸与する企業は事が多い。しかし、内勤が多い従業員にはそれがない。
そのためテレワークで電話をかける際、何を使って良いのか困る。一般的には、手元には固定電話と自分のスマートフォンが1台あるだろう。しかし、この電話を使うと相手にプライベートの電話番号が伝わってしまう。折り返しの電話が欲しいときなど、番号を伝えることに困ってしまう。
とはいうものの、新たにスマートフォンを契約するのも荷が重い。そこで有効なのが050を使ったIP電話だ。
おすすめは「050 plus」
オンラインだけで契約が完結する
050のIP電話サービスは数多くあるが、おすすめはNTTコミュニケーションズの「050 plus」だ。メールアドレス、携帯電話のSMS、クレジットカードがあれば10分もかからないで契約できる。また、運転免許証などの身分証明書も不要で、契約はオンラインのみで完結する。
新型コロナウイルスの感染拡大の状況により、テレワークは2週間で終わるかもしれない。郵便による発送が必要だと、申し込みから利用開始まで早くても3営業日程度かかってしまう。この2週間のうちの3営業日は大きい。
さらに、新型コロナウイルスの予防により、手作業が必要な郵便の発送が遅れる、最悪の場合、新規契約が一時停止する事も考えられる。
基本料金は月額300円、通話料金は固定電話と同等
基本料金は月額300円(税別、以下同じ)、通話料金は固定電話と同等のため会社の電話と同じように使える。
例えば、仕事の電話を自分のスマートフォンでかけた場合、プライベートと仕事の線引きが難しい。プライベートの通話と仕事の通話を記録して、経費を精算するのは現実的ではない。
しかし、プライベートはスマートフォン、仕事は050 plusときっちり使い分けると、境目がはっきりする。いわゆる「BYOD」と呼ばれる形態。個人で契約した050 plusの料金だが、これは仕事でしか使っていないことを説明すると経費として認められるだろう。ただ、これを経費と認めるかどうかは直属の上司や経理。しかし、050 plusでこれほどの根拠があれば、認められる可能性は非常に高いと思われる。
050 plusは、パソコン用とスマートフォン用のソフトとアプリが用意されており、インストールの後、IDとパスワードを入力するだけで利用できる。また、留守番電話は相手のメッセージが音声ファイルがメールで送られてくるのも便利だ。

Windows向けの050 plusソフト Android向けの050 plusアプリ
ほとんどの回線や端末で利用できると思われるが、契約前に念のためテストコールを行う事をおすすめする 050 plusの設定画面。電話番号とパスワードを入力するだけで利用できるようになる。サーバーの設定などは不要だ
050 plusの通話料金は、050 plusを初めとしたNTTコミュニケーションズのIP電話宛ては無料、固定電話は3分8円、携帯電話は一律で1分16円だ。この料金は、固定電話とほぼ等しい。
例えば、NTT東日本のひかり電話は、固定電話は3分8円(税別)、ドコモは1分16円(税別)、auとソフトバンク宛は1分17.5円(税別)だ。NTT西日本のひかり電話は、固定電話は3分8.8円(税込)、ドコモは1分17.6円(税込)、auと楽天モバイルは1分19.8円(税込)だ。
テレワークが終わったら、050 plusは解約してもいいだろう。特に期間による縛りがないため、1カ月間だけの利用であっても、解約による負担は一切ない。




050 plusを1年間使ってもほとんど問題は見られない
050 plusは約1年間、使っている。その間、スマートフォンがスリープ状態になっていても問題なく着信している。自宅にいるときは光回線に接続されたWi-Fi、外出先はLTEで接続しているが、いずれも問題はない。どちらに接続されているか意識する必要はないほどだ。
音声品質も良好で、たまに途切れる事があるが、それはスマートフォンの通話も同じ。相手の声が聞こえない、相手に音声が届かないなどいう問題はない。
このように品質が高いため、いっそのこと音声契約からデータ通信だけに変えて050だけに絞ろうと思ったが、おそらく時期尚早だ。
仕事場にかかってきた電話はどうするか?
050 plusを初めとしたIP電話は、一時的なテレワークに役立つ。しかし、いろいろ探してみたが、仕事場にかかってきた電話を転送できる手軽なサービスはなさそうだ。一般的には、会社の電話をIP化して「IP-PBX」を構築するという方法があるだろう。会社の代表番号に電話がかかってきたら、受付の担当者のIP電話が呼び出し、適切な人に電話を転送するという具合だ。しかし、IP-PBXの構築には時間がかかる。050 plusのようにすぐにはできない。
このような機能を提供する「Twilio」というサービスがある。Twilioとは、既存の電話回線とインターネットを接続する高度なIP-PBXのようなサービス。簡単なプログラミングだけではなく、マウスで記号を書いて線を引く事でも、条件や動作が設定できる。
例えば、小規模の事業者の場合、会社の代表に電話がかかってきたら、複数人の携帯電話やIP電話を同時に呼び出せる。その後、中規模程度の事業者になり、部署という概念ができるとそれぞれに電話番号が付与できる。また、代表に電話がかかってきた場合、コールセンターのように音声案内で担当の部署につなぐといった事もできる。