USB端子を電源とする機器は多い。スマートフォンやタブレットを初め、ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、ノートパソコンなど数多い。そんな中にmicroUSB端子で給電できるスイッチングハブがある。エレコムの「EHC-G05PA-SB」だ。
エレコムのWebサイトまたは、パッケージなどにはEHC-G05PA-SBはmicroUSB給電に対応しているという記載はない。そのためmicroUSBではなく、一般的な丸型のコネクタの製品が混在または、切り替わる可能性が考えられる。
またメーカーが保証しているのは、付属のACアダプタを利用した場合だ。ノートパソコンや汎用的なUSBアダプタを用いた場合、故障時の無償修理または、修理も断られることを注意していただきたい。


microUSB端子にどうやって給電する?
EHC-G05PA-SBの電源端子はmicroUSBだ。このmicroUSBを使って充電する機器は、非常に多い。というのも、一昔前に販売されたAndroidのスマートフォンの充電端子がmicroUSBだったためだ。現在は、新製品はUSB Type-Cだが、まだ多くのスマートフォンはmicroUSB。実際、周りのタブレットとスマートホンの電源端子を確認すると、microUSBは3台だが、USB Type-C端子は1台のスマートフォンだけだ。EHC-G05PA-SBはそんな、ありふれたmicroUSB端子から受電するため非常に便利だ。


このEHC-G05PA-SBは、データセンターなどネットワークの構築時に役になっているという話を聞いたため試してみた。ネットワーク構築の際、コンセントがないためスイッチングハブが使えない、つまり複数台のパソコンが接続できないという事があるらしい。しかし、EHC-G05PA-SBの電源はUSBなら何でもいい、ということでパソコンのUSBポートを電源に動かしているという。
それにしたがって配線をしたのがこの通り。右側のUSB端子から電源を取る。左側のノートパソコンのイーサネットポートとEHC-G05PA-SBは白いケーブルで接続している。EHC-G05PA-SBに接続されたもう1本の青いケーブルは、ネットワークにつなぐ。
これは、一見すると奇妙だ。なお、パソコンのUSB端子とEHC-G05PA-SBはUSBで接続しているが、これはあくまでも電源の供給のため。USBの有線LANアダプタのようにUSB端子にEHC-G05PA-SBをつなげただけでは、ネットワークには接続できない。




転送速度は最大920Mbps
このようなEHC-G05PA-SBの通信速度はどれくらいだろうか。パソコンとNASの間にEHC-G05PA-SBを接続して通信速度を測定した。結果、TCP Monitor Plusで測定したところ受信の速度最大920Mbps、CrystalDiskMartkでファイルの読み書きの速度を測定したところ、読み込みは116.18Mバイト/秒、書き込みは118.28Mバイト/秒だった。理論値で最大1Gbpsの1000BASEのネットワークでは、これが限界だと思われる。




この値はどれほどなのか。EHC-G05PA-SBからをSOHO向けのスイッチングハブ「GS108E」に交換して測定した。結果は、受信の最大速度は919Mbps、読み込みは113.25Mバイト/秒、書き込みは117Mバイト/秒だった。








2つのスイッチングハブともにほぼ同じ値で、トラフィックのグラフから見る限りでは、スイッチングハブがネックになっているようだ。そのため、1対1の接続であれば、2つのスイッチングハブともに同等の性能が発揮できる。このように、EHC-G05PA-SBは小さいながらもSOHO向けモデルのスイッチングハブと同等の速度が期待できる。
EHC-G05PA-SBとGS108Eの違いは?
EHC-G05PA-SBは家庭向けで、GS108EはSOHOレベルから小規模事業者が使う製品で、ユーザー層や製品の信頼性はまったく異なる。
GS108Eは、一般的なスイッチングハブは異なり、ポートごとトラフィックの優先順位が指定できる。「VLAN」は例えば1番から4番で1つのネットワーク、6番から8番で1つのネットワークだが、5番ポートは両方のネットワークに接続できるといった事ができる。また筐体は金属製のため、放熱しやすい。など、家庭向けのスイッチングハブよりも搭載している機能や信頼性が高い。
そのため想定されているのは、複数のパソコンがある事務所だろう。SOHOならプライベートと仕事のネットワークを分離させる、小規模事業者なら部署ごとにネットワークを構築。部署ごとに利用できるファイルサーバーを制限できたりする。




NETGEAR スイッチングハブ ギガビット 8ポート 金属シャーシ VLAN QoS IGMP ファンレス静音設計 省エネ GS1…
一方のEHC-G05PA-SBは、小型で安いスイッチだ。そのため筐体はプラスチックで小型、優先順位などの設定はできないため、家庭で使う製品だ。
待機電力は0.2W、データ転送時は0.9W USBバッテリーでも動作する
EHC-G05PA-SBは消費電力が少ないことも特徴だ。LANポートに何も接続していない場合は0.2W、先ほどのテストの際は0.86Wだった。そのため、USBバッテリーをEHC-G05PA-SBの電源としても利用できる。試しにバッテリーで駆動させたEHC-G05PA-SBで同様のテストを行ったが、スループットが落ちるようなことはなかった。
このように消費電力が非常に少ないため、5V/2Aといった急速充電器を使う必要はない。5V/0.5Aの2.5Wの充電器でも十分足りる。USB 2.0では、5V/0.5Aの電力を供給すると決められているので、どんなAVアダプタでも電力不足にはならいと思われる。






テレビ周辺のスイッチングハブにおすすめ
テレビによっては電源を落とすと、USB端子の電源も供給されなくなる場合があるため、以下のような用途には使い方をするためには、確認をすることをおすすめする。
このようなEHC-G05PA-SBは、小型なこともありネットワークエンジニアは常に持ち歩いてもいいだろう。
家庭内ではどこで使うのが良いだろうか。テレビの周辺のAV機器をインターネットに接続するために便利だろう。AV機器がネットワークに対応するとともに、テレビの周辺はLANケーブルで乱雑になっていないだろうか。そこでEHC-G05PA-SBを使うと配線がきれいになると思われる。
一般的にはブロードバンドルーターの有線LANポートは5つポート。この5ポートにテレビ、IP-STB、Blu-rayレコーダ-を接続すると空きがなくなってしまう。ここでEHC-G05PA-SBが役に立つ。
まずは、LANケーブルを ブロードバンドルータなどからテレビの近くに設置し、EHC-G05PA-SBをつなぐ。EHC-G05PA-SBの電源は、テレビに付いているHDDなどのUSBポートを利用するという具合だ。そこからテレビ、Blu-rayレコーダ、IP-STBに接続すると配線は、多少、すっきりする。
これまではIP-STBと書いていたが、Fire TV、Chromecast、Apple TVを無線LANで接続している事が多いだろう。しかし、テレビの近くにスイッチングハブを設置するなら、IP-STBも有線LANで接続してもいいだろう。
EHC-G05PA-SBの大きさは?
EHC-G05PA-SBは非常に小さい。LANコネクタがあるため、これよりも薄くできないだろう。また、一般的なカードよりも少し大きい程度の大きさで、ここまで小さいスイッチングハブを見たのは初めてだ。





