パソコンの組み立てで頻繁に使うのはプラスのドライバーだろう。このドライバーは100円でも購入できる。そのようなプラスドライバーだが、KTCの「ラチェットドライバー DBR14」(DBR14)が気になっていて購入した。ドライバーの先端「先端ビット」が交換できるため、家に散らばっているドライバーはこれ1本ですべて済みそうだ。



KTC? ラチェットドライバー?
KTCとは?
「KTC」とは、京都機械工具株式会社の略称または、公式サイトでは“コミュニケーションネーム”とされている。社名の通り機械工具のメーカーだ。しかも専業メーカーであり、業務で使用するレベル工具を製造している。また趣味の中でもバイク、自転車、自動車の整備に使う人も多い。
ラチェットドライバーとは?
通常のドライバーは、ネジにはめ込む「先端部ビット」と握る部分は固定されている。しかしラチェット機構を備えたドライバーは、決めた方向にしか回らないようになっている。
具体的には、ネジは右に回して締める。この際、半周程度でドライバーを握り直し、またドライバーを右に回す必要がある。しかし、ラチェットはその必要がない。右回りの際は、握りと先端部分は固定されるが、左に回すと空転する。そのため、ドライバーを握り直す必要がない、というのがラチェットだ。
とにかく重たい、まずは軽くする
DBR14を手に取って一番に感じることは「重たい」だ。それもそのはずで、実測348g。350mlのペットボトルと同じ程度。重さの原因は、7本の「先端ビット」が入っているから。DBR14は、この先端ビットを交換することで、大きさが異なるプラス、マイナス、六角、星形ネジのドライバーとして使える。
先端ビットは、ドライバーに装着されている物も含めて、8本用意されている。同じ先端ビットが2組みあるため、7種類。1本の先端ビットは、両端がドライバーになっているため14種類のネジに対応できる。
しかし、普段、最も使うのは同社では「クロスNo.2」とされているプラスのドライバーだ。パソコンのネジや100円ショップ、ホームセンターで販売されている大きめのネジを回すプラスドライバーというと、ほとんどこのクロスNo.2だ。






次に使うのが六角。家具の組み立てに使われている。大きさはさまざまだ。さらに、ほとんど使わないのが星形だ。メーカーやモデルにより異なる可能性があるが、HDDのネジがこの星形の事が多い。安全に廃棄するためにHDDを分解して、プラッターを取り出し、破壊するときに使える。
DBR14はパソコンの組み立てはあまり想定されていない
わたしがドライバーを頻繁に使うのは、デスクトップパソコンの組み立てだ。ここでラチェットドライバーを使ったが、ラチェットが“便利”や“楽”とは感じなかった。パソコンのネジ留めは、部品がぐらつかない程度で問題ない。強く締める必要があるのは、CPUとヒートシンクくらいだろう。そのため、パソコンの組み立てではラチェットはそれほど便利に感じなかった。
また、パソコンのファンなどの取り付けで気が付いたが、ドライバーでネジを締めるとき。若干ではあるが、時々、緩めていた。これは無意識だったが、ネジを緩めファンの位置を調整している。ここで、締める方向に固定していると不便だ。
これらのことにより、パソコンの組み立て程度では、ラチェットは不要だと考えられる。そのため、ラチェットをオフ、つまり握りと先端ビットを固定して、通常のドライバーとして使える。これでも十分だ。
このようにクロスNo.2を使うことが多いが、家具は実はNo.3を使うのが適切という事もある。実際に、パソコン用の椅子とカラーボックスはNo.3が適していた。
家具の組み立てには適している
このようにパソコンの組み立てには、ラチェットは不要だが、カラーボックスなどの家具の組み立てでは非常に役に立った。カラーボックスの場合、最後までネジをしっかり締める必要があるからだ。DBR14を右手に持ち、右に回し、左に回して空転して、また右に回してネジを締めるということが、しっかり出来る。
DBR14は、メーカー取り寄せ、キャンセル不可
DBR14だが、個人向けではなく、あくまでも“プロ向け”製品として扱われている。Amazon.co.jpでは、2020年7月現在は通常の商品と同じように扱っているが、7月初め頃はメーカー取り寄せ、キャンセル不可と記してあった覚えがある。ほかの通販サイトも同様で、そもそも注文数が少なく在庫を持っていないためだろうか。注文があると、その都度メーカーから取り寄せるため、到着まで10日から2週間程度となっているのだろう。
しかし、「モノタロウ」は、常時、在庫がありそうだ。モノタロウは、プロが使う工具や消耗品を販売しているWebサイト。品揃えはホームセンターと同じと表現するのが適切だろう。
しかし、“ホーム”センターは個人向けの製品を販売する小売店だが、モノタロウは業務用だ。法人向けの商品は、個人向けよりも長期間に渡りハードに使う、信頼性が高い。このような品揃えのため、モノタロウはDBR14も常に在庫を確保している事が期待できる。
組み立て式の家具には、ネジのほかにそれを締める六角レンチが付いている。おそらく、この六角レンチは紛失したり、まとめて取ってあったりするかもしれないが、どの六角レンチがどの家具の物か分からない事になっているだろう。しかし、DBR14と先端ビットがあれば問題ない。ほとんどの六角穴のネジが締められるためだ。
DBR14には、4つの大きさの六角先端ビットが付いている。しかし、締めたいネジに適した大きさの先端ビットが分からない事がある。適切な大きさの先端ビットを選ばないとネジ穴が潰れため、確実に選びたい。そんな場合は、大きい先端ビットからネジにはめるのが正しい。
例えばネジ穴が4mmの場合、5mmは入らない、4.5mmでもダメ、4mmでようやく入るといった具合だ。
ネジ穴が4mmで、小さいドライバから試した場合、3mm、3.5mm、4mm、5mmの順になる。これだと、4mmのネジなのに3.5mmで回せる可能性がある。しかし、ネジの穴よりもドライバーが小さいため空回りすることが多くなり、ネジ穴が潰れ、締めることも緩めることも出来なくなる。
1本買っておくとほかのドライバーは使わなくなる
パソコン用のドライバーとして使うなら、ラチェットは固定した方がいい。パソコンのネジの締め具合とラチェットは合わないからだ。
しかし、カラーボックスなど家具の組み立ては、ネジをきつく締める必要があるため、ラチェットは有用だ。そのため、パソコンの組み立て時はラチェットを固定して、家具やカラーボックスはラチェットを有効にするのがいいだろう。
また、KCTでは、さまざまな大きさの先端ビットは当然ながら、DBR14の部品がばら売りされている。これらの製品は、頻繁に新製品が発売される物ではない。そのため、保守部品も数年、または10年以上販売される事だろう。
家の中を探すと、大きさやネジが異なるドライバーが複数、置いてあることもあるだろう。しかし、DBR14が1本あれば、これらのドライバーの役割を果たす。DBR14を買えば、ほかのドライバーは不要になるだろう。
ここまで高価なドライバーだから、“DBR14があればほかのドライバーはいらない”と言いたいがそうではない。ドライバーはそれぞれ特性がある。
手元にあるドライバーを並べてみた。左から握り手が黒いドライバーは「貫通型」、中央の木製は油で滑りにくい、黄色とオレンジ色のドライバーは「1000V」と書いてある電気工事用のドライバーだ。貫通型とは、ドライバーの両端が1本の棒で貫かれているもの。ドライバーを金づちで叩ける。

