現在、ロジクールのマウス「G900」を使用している。いわゆる“ゲーミングマウス”と呼ばれる製品だ。一般的なマウスよりも細かい操作が可能で、ワイヤレスながら有線と同等程度の反応速度などの特徴がある。そのためゲーム以外でも使っているが、問題はバッテリーの持ちが悪くなったこと。そのため、バッテリーの交換を行った。
1日も持たない2万円のマウスのバッテリーを交換したい
そもそも、G900はバッテリーの持ちが悪い。ロジクールは、Bluetooth接続のほかに、1つのUSBドングルでPCと複数のワイヤレスデバイスが接続できる技術「USB UNIFYING RECEIVER」を採用している。
このようにロジクールのワイヤレスデバイスは2つの接続方法があるが、G900は3つめの独自の技術を用いている。これにより、パソコンとの接続が無線であっても有線と変わらない反応速度を実現している。
このような技術のため、非常に電力を消費する。仕様上、内蔵バッテリーの寿命は約32時間とされている。1日12時間使うと3日間は持たない。それが今では、1日持つか持たないかくらいにバッテリーが劣化した。
G900の後継モデルとして「G903」が販売されている。電力消費の問題も改善され、最長180時間だ。しかし、G903も価格は19,000円程度。さすがに悩む。
そんなところ、G900用の互換バッテリーが販売されていることに気が付いた。価格は意外と安く1,499円だ。さらに、純正のバッテリーの容量は、750mAh(3.7V)だが、互換バッテリーは1,000mAh(3.7V)で容量が大きい。単純に計算して、フル充電で40時間は持ちそうだ。
LOGITECH G900 Chaos SpectrumおよびG403 Prodigy RGBゲーミングマウス、533-000130用1000mAh / 3.7V交換用…

また、G900を分解するためには、マウスソールをはがさなくてはならないが、1回はがしたソールはきれいに貼れない可能性がある。しかし、G900用の交換用のソール「Hotline Games 交換用 マウスソール」も売っていた。さらに、G900用のマウスボタンの滑り止めの「Hotline games アンチスリップテープ」も購入した。
Hotline Games 交換用 マウスソール マウスフィート [超薄0.23mm/4点セット/滑り改善] (Logicool G900用)
【滑り止め/手触りUP】Hotline games アンチスリップテープ Logicool G903 / Logicool G900 マウス ゲーミ…
マウスの静音化も
ついでに、クリックのスイッチを交換してマウスの静音化も行った。調べたところ、マウスの静音スイッチとしてメジャーなのは「Kailh ミュートマイクロスイッチ」のようだ。手元にあるロジクールのBluetooth接続の静音マウス「M590」も同じ部品のため、広く流通しており、ある程度信頼できる部品だと思われる。また、Amazonでも販売されており、入手しやすい。

G900の分解は難易度“高”
バッテリーの交換までは、それほど難しくはなかった。しかし、静音スイッチの交換は難易度が高い。G900は、ネジが多く分解と復元が困難だ。
また、スイッチの交換はハンダごてを使う必要がある。さらに、ハンダ付けされている部品を基板から取り外すのは、なかなか難しい。クリックボタンの回路が取り出せても、ハンダごてで熱を加えすぎると基板が破損する可能性がある。
おそらく、スマートフォンのバッテリーやディスプレイ交換を行うほどの知識と技術がないと難しいと思われる。
G900の保守部品で5000円近くのコスト
10月4日現在、Amazonでは、「Hotline Games 交換用 マウスソール」は1,080円、「Hotline games アンチスリップテープ」は1,080円、G900のバッテリーは1,499円、「Kailh ミュートマイクロスイッチ マウスボタン専用保守パーツ」は2個で1,100円で、合計4,759円。マウスの保守部品で無線の光学マウスが購入できる金額になってしまった。

必要な道具
ユーザーが製品を分解すると、メーカーによる修理は受けられません。また、紹介する分解の手順は、不完全でありいくつかの工程が抜けている事も考えられます。記事は参考程度として、全て自己責任で行ってください。
必要な道具は以下の通り。人により道具の使い方が異なるため、必ずしも下記の物を揃える必要はない。

- 分解ヘラ
ネジを外し筐体を上下に分離するときに必要。マイナスドライバーでも行えるが、マウスに傷が付くため、避けた方がいい - +25ネジ用ドライバ
- T5ネジ用ドライバ
精密機器用のドライバのセットを使用 - ニッパー
- ハンダ
低温ハンダを使う理由は特になく、たまたま手元にあっただけ - ハンダ吸い
扱いが難しいが、基盤からスイッチを取り外し、サイレントスイッチに交換するためにはハンダを除去する必要がある。ここでは銅線を編んだ物を使っているが、注射器型のハンダ吸いもあり、そちらの方が簡単だ - ハサミ
ハンダ吸いを切るために使用。文房具のハサミでも問題ないと思われる - 小型ラジオペンチ
あったら便利という程度 - ハンダごて
その他に濡らした布などが必要
分解
外側からネジは見えない。まずは、マウス裏側のソールをはがしていく。各ソールには、はがすためのへこみがある。ここから分解ヘラを使ってはいでいく。意外とすんなりはがせたため、改造後も使っている。



ソールを外すとネジが見えるので外していく。マウスのUSB端子の部分だけトルクネジだが、ほかはプラスだ。


マウスを上下に分離する。この際、分解ヘラを使い、上下に分かれている部分を外していく。注意するのは、マウスの上下を接続しているケーブル。前方(USB端子が設置されている側)から開けると切断する恐れがある。後方から開ける。

上下の部品に分離。バッテリーと通信用のケーブルをコネクタから外す。今回の改造では、写真の左側のマウス下部には手を加えない。

バッテリーの取り出し。バッテリーは、本体と粘着力が強い両面テープで固定されている。分解ヘラでバッテリーの底から上に持ち上げて取り外す。バッテリーは変形や強い力を加えると、最悪の場合、発熱や発火する事があるので慎重に行う。

バッテリー周辺のネジを外していく。1つ分かりにくいのが、中央奥にあるネジ。

マウスを分離させる際、マウスの写真の部分が引っかているので、外側に力をかけて外す。

分離させたマウス。手を加えるのは右側の部品

クリックボタンの根元のネジを外す。

ようやくクリックボタン用のスイッチが見えた

スイッチは基板にハンダ付けされている。ネジとコネクタを外して基板を取り出す

取り出した基板

基板からはみ出したスイッチの足を切る。ただし、基板の根元から切ると接点もはがれてしまう可能性があるので写真程度にしておく


基板からスイッチを外す。今回は木材の上に両面テープを貼り付け、スイッチを固定。ハンダを溶かしながら、基板からスイッチを外した(撮影を忘れたため、写真はそのイメージ)。残ったハンダは、ハンダ吸いで除去し、新しいスイッチが入る穴を確保する。

基板に静音スイッチを取り付け。外したスイッチは3本足で静音スイッチは2本足だが問題ない。極性はないが、基板に印刷された範囲からはみ出さないようにハンダ付けを行う。この工程は、非常に重要。スイッチをしっかり固定しないと、マウスの操作性が悪くなる。そのため、スイッチの足をしっかり基板に差し込み、足を折り曲げると固定される。

これで左側は完了。右も同じ要領で行う。念のため復元する前にバッテリーなどを接続して動作確認。問題がなければ、復元する。

頼みの綱はAliExpress
G900の部品の多くはAliExpressで販売されている。販売されている部品をかき集めると、G900が1台完成してしまうかもしれないというほど揃っている。分解の際、部品を破損した場合、こちらで購入するのがいいだろう。
また、クリックボタンのスイッチを基板から外す作業は技術を要する。そのため、基板とサイレントスイッチを別々に購入し取り付けるという手も考えられる。

苦労の末のバッテリーの交換とクリック音の静音化は快適
G900の改造を行って1週間。非常に快適だ。一番はバッテリーの寿命。これまでは、常にバッテリーの残量を気にしていた。しかし、バッテリーを交換すると、おおよそ3日間、使えるようになった。これは誰でも感じるメリットだ。
また、クリック音の静音化もマウスに対するストレスが1つ減った。自宅で使うパソコンは、静音にこだわっている。電源も“準ファンレス”という製品で、ほとんどの場合、ファンは回っていないようだ。また、ケースも静音タイプを購入し、CPUファンの音も漏れないほどだ。
そのため、今では静音化していないマウスのサイドボタンの音が気になっている。このサイドボタンのスイッチも静音化スイッチに交換したいと考えている。
しかし、このクリック音の静音化は好みによる。音がしないとクリックの感触がないと感じる人も多いだろう。
バッテリーの交換はまだ簡単だ。しかも、連続稼働時間が長くなると言うはっきりとした数字と、誰もが感じるメリットがある。
しかし、スイッチの交換は技術や工具を必要とする。バッテリーのようにはっきりとした数字で表せず、誰もが快適だと感じないかもしれない。そのため、静音スイッチへの交換は、万人にはおすすめできない。
