いま使っているのは、自作のデスクトップパソコンだ。静音にこだわっており、ケースはクーラーマスターのSilentシリーズの「SILENCIO S600」を購入した。しかし、フロントファンから“カタカタ”と鳴るのが気になった。確認したところ、ファンの回転数は、400rpm程度。フロントファンは仕様上800rpmから1200rpmだった。



Cooler Master Silencio S600 静音型 ミドルタワー PCケース CS7616 MCS-S600-KN5N-S00
騒音はファンの回転数が低いのが原因?
「rpm」とは、回転数の単位。Revolutions Per Minuteの略で、1分間の回転数を表している。一般的に回転数と風量は比例するが、風切り音が大きくなる。
今回の場合、回転数が低いためそれは考えにくい。また、一般的に風を切る音ではなく“カタカタ”といったこれまでに耳にしたことがない機械音だ。これはファンの仕様上の回転数よりも、実際に動作している回転数が低いことが原因だった。
ファンの回転数が仕様よりも低いとどうなるだろうか。ファンを回転させる軸が安定しないため、機械音が聞こえる可能性がある。
回転数が落ちると軸が安定しないのは、コマを思い出すと分かりやすい。コマは、回転数が多いと安定して立っている。しかし、回転数が低くなるとバランスが悪くなり倒れてしまう。同じ事がファンでも起きている可能性がある。
600rpmの14cmファンに交換して解決
この場合の対処方は、回転数が低いファンに交換するのが簡単で確実だ。購入したのは、アイネックスのファン「CFY-140SA」。回転数が600rpmで、サイズは14cmだ。交換前のファンよりも仕様上、回転数が低い製品を選んだ。また、12cmから14cmに交換したことで、低い回転数でも同じ風量を得られるようになった。
このようにファンを交換したところ、カタカタという音は聞こえなくなった。はっきりとした効果が確認できた。





ファンの設置場所やパソコンの使用用途により適切なファンは異なる
ファンを購入する際。サイズはもちろんのこと、騒音と風量までは確認するだろう。しかし、適切な回転数も考慮する必要がある。
一番ファンが必要なのは、かなりの熱を発するCPUだ。ハイエンドのCPUを高負荷で安定して動作させるため、2つのファンを取り付けることもあるほどだ。
次に必要なのはフロントファンだろう。ケースの中の熱を排出するために、外気をケースの中に取り込むことが目的。リアファンは、このフロントファンが取り入れた外気をスムーズに逃がしている。
また、極端な例だが自宅のファイルサーバーは、CPUにファンを付けていていない。低消費電力版のCPUを選び、装着したからだ。唯一、装着したのはフロントファン。ケースの中にたまった熱い空気を排出するため、外気を取り入れる必要があるためだ。このファイルサーバーは、高負荷をかける事はほとんどないので今のところこれで問題なさそうだ。
ケースに付属しているファンは必要?
インターネットの端末としてスマートフォンやタブレットの利用が多くなり、パソコンであってもノート型が多くなっている。デスクトップパソコンは確実に減っている。ましてや自作パソコンは、はっきりとした用途や目的があるからだ。
この場合、ケースと電源ユニットがセットになった製品は買わない。ゲーミングPCの場合、ケースとセットになった電源では容量が足りない。静音でもないだろう。
このように、パソコンの用途や取り付けている部品により適切なファンの大きさや回転数は異なる。私が購入したSILENCIO S600も電源ユニットは付属していないため、別途購入した。
しかし、ケースにファンが付属している。これも不要だ。私のように静音を好む人と、限界まで使い切るゲーミングパソコンは必要とする部品は異なるため、ファンの設置場所や回転数、大きさも違う。
タイトルにもよるが、パソコン向けのゲームは、3Dだととにかくパソコンの資源を食い尽くす。特に重要な部品は、グラフィックボードだ。しかも、グラフィックボードを複数枚取り付ける事もある。ゲーミングパソコンは、騒音が気になってもファンをたくさん付けて部品を冷却し、動作を安定させるだろう。
このように用途によって必要とされるファンは、異なる。そのため、ケースにファンが付属されているのは、少々疑問だ。
