あと2か月で購入から3年というウエスタンデジタルのHDDに故障の兆候が見られた。一般的に製品の保証期間は購入から1年間だ。しかし、HDDは2年または3年という場合が多い。このウエスタンデジタルのHDDは、保証期間は3年。そのため、HDDの無償交換を依頼したところ申し込みから14日で新しい製品が届いた。
ウエスタンデジタルの3TバイトのHDDが故障
今回、故障したのは、ウエスタンデジタルのNAS向けのいわゆる“Red”のHDD。容量は3Tバイトで、価格は11,314円(2020年12月26日現在)だ。ウエスタンデジタルのデスクトップ向けHDDの“Blue”の3Tバイトが見つからなかったが、4Tバイトは8,980円。1Tバイト当たりの単価はRedが3,771円で、Blueは2,245円で、Redは割高だ。
このようにRedの単価が高いのは、24時間365日稼働する事を想定しているためだ。数千円なら面倒と感じるが、1万円を超えるとなると少々手をかけてもいいだろうと、交換を依頼した。
Western Digital HDD 3TB WD Red NAS RAID 3.5インチ 内蔵HDD WD30EFAX-EC 【国内正規代理店品】
まずはユーザーと製品登録から
アカウントの作成
保証を受けるためには、ウエスタンデジタルのアカウントの作成が必要だ。このアカウントに購入した製品を登録する。なお、「交換品は海外から発送できます。英字のみを使用して名前と住所を入力してください」とある。指示通り英数字で入力する。
製品の登録
アカウントの作成が終わったら、「WDサポートホーム」にて、「製品を登録」を開く。「プロダクト タイプ」は、内蔵式のHDDなら「Other WD Products」を選択。HDDに記された「シリアル番号」と「購入日」「購入場所」を入力。「購入証明」はレシートを撮影したJPEGや通販サイトの領収書など購入が証明できるファイルを添付する。これで製品登録が完了する。


HDDを購入したらすぐにユーザー登録または製品の登録をおすすめする。また、購入日が分かりやすいようにHDDシールに日付を書いておくといいだろう。
HDDの故障の判断
HDDの故障の判断は難しい。まったく電源が入らない、異音がするというのは分かりやすい。そうなると、どのように故障と判断するのがいいだろうか。それは、各HDDメーカーが用意している診断ソフトが一番確実だ。
今回、故障したHDDはその兆候はなかった。しかし、NAS専用機にセットすると故障している可能性があるとメッセージが出たため、ウエスタンデジタルの診断ソフト「Data Lifeguard Diagnostic」で診断した。
すると「QUICK TEST」(簡易テスト)では正常だったが、念のため「EXTEND TEST」(詳細なテスト)を行うと、不良セクタが大量に発見され途中で診断が止まった。これは、故障と判断してもいいだろう。

なお、シーゲイトも同様のツールを用意している。
製品の交換を依頼する
まずは、アカウントに登録した故障した製品の「RMA番号」を発行する。このRMA番号は、故障した製品の管理に使われる。「WDサポートホーム」→「私のサポート」 → 「製品交換」を選択する。

これまでに登録した製品が一覧で表示されるので、交換したい製品の右側のチェックボックスをクリックして「次へ」または「RMAを作成する」で次の画面に。

「『RAM』タイプおよび『理由』を選択してください」にて、「RAMタイプ」は「Standard RAM」のままで、RAM理由は今回のようなセクターのエラーは「診断に失敗した」または「不良セクター」を選択する。場合によっては、「電源が入らない」を選択する。

「あなたの住所」では、住所を登録していない場合は、「新しいアドレスを追加」にて住所を英数字で入力する。「次へ」をクリックすると、「サマリー」として、いままでに入力したデータを確認する画面に移る。問題がなけらば「送信」をクリックする。

しばらくすると、「RMA Instructions」と「梱包指示」のリンクが書かれたメールが送信される。

故障したHDDを発送する
この発送の手続きが、少々ややこしい。
製品交換の書類を揃える
メールのRMA Instructionsのリンクは、返品に関する書類だ。上部には梱包のガイドラインの遵守、HDDのデータは全て失われるなどの注意事項が書かれている。それと共に、これらを遵守した旨のサインと日付が必要だ。

また、上部の「ラベルを印刷」というボタンをクリックして、「RMAラベルの印刷」のページを開く。このラベルは印刷して故障したHDDに同梱する。


梱包指示
梱包指示は、注意書きは多く分かりにくい。おおよそ以下の6点だ。
- 箱の外面の3面にRMA番号を太字で書くこと
- 追尾できる方法で発送すること
- 発払いで送ること
- ケースやケーブル、マニュアルは梱包しないこと
- 帯電防止バックに入れること
- HDDを厚さ2インチ(約5センチ)のバブルラップで包むか固定可能な発泡緩衝材で包むこと
- ダンボールに入れること。封筒または厚紙は不可
また、
- 梱包の不備により輸送中に製品が破損した場合
- 製品に破損、改変、キズが見られる、または製品が開けられている場合
- HDDに張られたラベルがはがされたり破られている場合
は保証の対象外とされ、故障したHDDが返送される。
さらに、ここに書かれた方法に誤りがあると、手続きが遅れるどころか、「不適切な梱包による過失により破損したり、輸送中に損傷した製品については、保証は無効となり、手続きの後に修理を行わない状態で返送されます」とも書いてある。このような場合、着払いだ。
一番の問題は梱包の方法だ。帯電防止バック(静電気防止バッグ)と“HDDを厚さ2インチ(約5センチ)のバブルラップで包むか固定可能な発泡緩衝材で包む”というのが難しい。
配達証明付きとあるが、一般的な宅配便は伝票番号があるのでそれで問題はない。また、配達業者の指定も特にない。
帯電防止バックは、サンワサプライの静電気防止袋(TK-SE7K)が入手しやすい。そもそも、静電気防止バッグはどのような物か分からないかもしれない。TK-SE7Kの写真と同じような袋を見た事があるだろう。HDDはもとより、マザーボードやメモリーの袋に使われているので、余っているならそれを使っても良いだろう。


梱包
自分で梱包をする場合、さまざまな方法があるだろう。難しい場合は、あとで紹介するヤマト運輸の「パソコン宅急便BOX・精密機器BOX」を利用すると簡単だ。
必要なのは、
- 幅、奥行、高さが合計60cm以内(60サイズ以内)のダンボール箱
- 底と同じ大きさのダンボール
- 緩衝材または軽く丸めた新聞紙
- ダンボールをまとめるラップまたは、食品用のラップ
だ。
手順は
ダンボールの底に緩衝材を敷き詰める

HDDを帯電防止バックに入れる


HDDをラップで2周程度、巻く

ラップで巻いたHDDを底と同じ大きさのダンボールに巻き付ける。念のため四方に巻くと安全だ


ラップで巻いたHDDを箱の中のクッション材の上に乗せる

HDDの上に緩衝材を少々多めに敷く

一番下の緩衝材とHDDの間にダンボールを敷くのは、振動によりHDDが底に沈むことを防止するため。また、HDDの上の緩衝材を多めに敷くのは、逆さまにしても荷物が動かないようにするためだ。
梱包はヤマト運輸の「パソコン宅急便BOX・精密機器BOX」に任せるという手もあり
このように確実に自分で梱包するのは難しい。そのため、ヤマト運輸の「パソコン宅急便BOX・精密機器BOX」の「薄型精密機器BOX」を購入するという手がある。薄型精密機器BOXは、梱包する荷物の大きさの目安として、縦は15センチ、横は12cm、高さは2.5センチとされている。この大きさは、3.5インチのHDDとほとんど同じだ。
詳細は下記のURLから「サイズや内容物に合わせて使えるダンボール」→「もっと見る」→「パソコン宅急便BOX・精密機器BOX」→「薄型精密機器BOX」がそれに当たる。価格は税込み260円だ。

薄型精密機器BOXを使う場合、集荷も一緒に依頼するといいだろう。ドラバーが適切な方法でHDDを梱包してくれる。また、伝票はヤマト運輸の「C2」を利用して事前に印刷すると楽だ。

- 故障したHDD
- パソコンで印刷したC2の伝票
- RMA番号を書いた紙を3枚と、それを確実にダンボールに貼れるようにノリまたは両面テープ
- 1つ目の書類「説明書」
- 2つ目の書類「海外のお客様の通関の要件(米国以外のお客様)」
を用意したら、ヤマト運輸に集荷の連絡する。「薄型精密機器BOX」を持ってくることと、伝票は「C2」で用意しているという2点を確実に伝える。
発送先は?
ウエスタンデジタルのWebサイトに掲載されているのは、英字表記の住所だ。
Mitsubishi Logistics Corporation Ariake Branch, Shibaura C-Warehouse
29-1, Kaigan 3-chome, Minato-ku
Tokyo
108-0022
Japan
とされている。「Mitsubishi Logistics Corporation」は三菱倉庫で、Webサイトで検索したところ、以下の住所がそれに当たる。
〒108-0022
東京都港区海岸3-29-1 芝浦C号倉庫
三菱倉庫 有明営業所
ウエスタンデジタル宛
TEL:03-5442-2081

なお、これは2020年12月時点の発送先の住所のため、念のためウエスタンデジタルのWebサイトを確認したほうがいいだろう。
RedのHDDが故障したのに届いたのは白
このように発送したHDDだが、11月30日にウエスタンデジタルが受領、12月1日に発送、自宅には12月5日に新しいHDDが届いた。
12月1日にHDDを発送したというメールが届いたが、そのリンクを開くと「UPS」と書いてあった。新しいHDDは、外国から発送されたようだ。新しいHDDが到着してから書類を確認するとマレーシア。また、新しいHDDの製造国はタイ。マレーシアから製品を個別に送るよりも、まとめて送られてきた日本国内の在庫を送った方が送料が安いと思われるが、コスト以外に何か理由があるのだろう。
また、新しいHDDは赤くはなかった。異なる製品が送られてきたと思ったが、型番はRedと同じでシールの色が異なるだけだ。新しいHDDをネットワークションやフリマで新品のHDDとして販売される事を抑止するためだと思われる。


HDDは定期的に診断
このように、WDのHDDの無償交換は梱包や同梱する書類などややこしいことが多い。しかし、この手順や注意書き通り発送すると、連絡もなく新しいHDDが届いた。
あと、HDDの故障というのは気が付きにくい事も感じた。故障とされたHDDは、その兆候はまったくなかった。もしかしたら、あと数か月でデータの読み書きが出来なくなるほど損傷したかもしれない。
そのため、故障の兆候を感じなくても、HDDは定期的に診断することをおすすめする。